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Category: 黄昏町  

黄昏町 25

異形に満ちた謎の町、黄昏町を彷徨う581~600日目の記録です。
百目の鬼竜として、異形『毒』および『髑髏』と、C病棟からの脱出を目指す日々。

★ 特記事項
 裏町、旧校舎、C病棟へ行くことができる。遊園地、廃ビルは攻略済み。
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 105日目   【魂45/力12/探索4】
    竜尾(力+5)
    鬼腕(力+5)
    巨躯(力+1/診断名に「2」をつけ二度目の診断可)
    百目(探索+4)
    鱗(水耐性、力+1)
      上記の状態で[町]鳥居の診断に青い風船使用

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Category: 小話  

『範囲』

タイトル:範囲
『進化する天国』シリーズの小話、まだ修正の余地あり、あとで調整するかも。

登場人物
 僕  …語り手。職業は殺し屋&クリーニング店手伝い、茶髪の兄ちゃん。優男。一家代々ころしやさんの長男坊。
 君  …語り手の幼馴染。職業はSM女王様 たぶん雇われ店長クラス、オーナーは別。
 ボス …別の話に出てくる「黒服の男」とされる人物。新興マフィアのボス。おじさん世代。

僕と君はスラム街『裏通り』出身コンビ。今日は各々仕事の前と後に会っていたらしい。詳細未設定。

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 地元のチームが勝ったとか、自分の国は他国から高く評価されているとか、そんなことを鼻高々に自慢する人が一定数はいるもんだ。

「なんでェ?」
 鈍金色の煙管を指に引っ掛けて、君は竜の火みたいに煙を吐いた。
 僕と君とは昔からのつきあいだ。幼馴染と言ってもいい。だって初めて会ったのは確か5つか6つの頃だから。だから君が怒っているわけじゃないと僕は知っている。気の強そうなメイクのせいでいつもいら立っているみたい見えるけど。眇めた眼差しは険しくて、言葉もトゲのようだけどね。
「なんで他人事なのに自慢すんの? 自分じゃないのに? 『勝つ方を見抜いてそっちについた俺様の才能がパネェ』とか?」
 女王様のような君が吐く、濃い、濃い煙。紫煙というより白煙だよな、と思いながら僕は首を傾げた。その疑問はわからないでもない。けれど、『フツー』はそこまで考えない。どうせそんなもんだと通り過ぎてしまうようなことだ。
 君が嫌いなメンソールの細いタバコに火をつける。ゆっくり煙を吸い込むと最高に美味いミントアイスの香りが広がった。肺の中に冬が来た心地。
「たぶんさぁ」
 眉をひそめている君に向けて、もう一度、首を傾けながら話しかける。
「たぶんさ、自分ひとりじゃ褒められることもできないけど褒めてほしくてしょうがない人がいて、そういう時に『俺もその一部』ってものを広げて、褒められた気分になるんだと思うよ」
「あ?」
 顔をしかめてそう言ったから、君は納得できていないらしい。
 何て言えばいいのかな? 僕は懸命に、自分の中にあるぼんやりとした『当たり前』を一番ぴったりに表す言葉を探す。
「んー……。ほら、例えばチーム戦でさぁ? AチームとBチームに分かれたとするじゃん。で試合中に一っ個も活躍してなくたって、勝ったチームに入っていたらさ、勝ちメンバー側として上の試合に行けるわけじゃない。で、『オレたち勝ったぞ!』って。『チームは勝ったけど、ボクは活躍できなかったんでボクだけ負けです』とはならないよね?」
 納得しない女王サマ。納得というよりもまるでこの言語そのものを知らない人みたいに宙をにらんでいる。僕を通り過ぎた眼差しの焦点は何処に合っているのか。きっと壁か、壁に這わせた牛の頭骨型のミニライトか、何処でもない空間の真ん中辺りなんだろうな。
「あの―――、だからさ……」
 言葉を探しながら、ふと目を落とすと自分の指が視界に入った。
「だからさー、あの、そういう人はなんていうか……『自分』の範囲が広くて」
 言いながら、僕はカウンターの上にスッと右手を滑らせた。コツリ、求めていた感触。ガラス製の灰皿は冷たくて重い。
「ほら、君だってさ、『私様すごい』とはいうけど『今のは右目がえらい』とか『これは左手の手柄』とか言わないじゃない。
 実際に動いているのは君の体の一部だけれど、全部『私』でしょ? 国やチームの単位で誇れちゃう人は『同じ団体』を一個の生き物にしちゃってるんだよ。自分もその細胞の一つみたいに、どこ褒められてもトータルで一個だからオレもえらい~っ、て」

 君は思いっきり目を丸くした。

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 女王様の店から帰った僕はボスの元に向かった。仕事の結果を伝えるのだ。報告はいつも口頭で。だって、機械も他人も信用できないからね。
 オフィス仕様のドアを開けると、我らがボスは額に冷却ジェルのシートを貼りつけていた。
「どうしたんですか?」
 思わず尋ねると、ボスは『苦虫をかみつぶした』そのものの顔で言う。
「ああ? カゼだよ、カゼ」
 ひどい鼻声!
「天変地異ですか?」
 僕の言葉を遮るようにピピッと電子音が鳴り、ボスがおっくうそうな様子で脇から体温計を取り出した。
「よくやった、俺の白血球!」
 突然、突き上げられる拳。あーやっと下がった、と嬉しそうにつぶやく声がかすかに聞こえた。僕は動けない。何だかさっきまで幼馴染のあの子と話していた『自分の範囲』の話に似ている気がして。
「さすが俺の白血球」
 ボスはひどく誇らしげな顔。
 何だそれ? でもこの人らしいや。確かに、この人なら細胞の一つ一つを褒めるかもしれない。『今のは右目がえらい』とか『これは左手の手柄』とか、この人ならば普通の事のようにそう言うのかもしれない。変なの。変わってる。僕の周りはヘンな人ばかりだ。僕はこんなに普通なのに、変なの。
 なんとなくボスの言葉を口の中だけで復唱してみたら、『俺の』と頭につけて発言していたことに気がついた。あくまでも自分の白血球だから、か。一部分がえらいのか、自分全身だからえらいのか、一部、でも全体が『俺』だから、一部が、全体が、んん、何だかよくわからなくなってきたぞ? 変なの。でも、まぁいいか。
 その時、ピコン、と音がしてボスのモバイルが光った。
「お、やったか」
 そうボスがつぶやく。一緒に画面を覗いたら、同組織の先物屋の名前が表示されていた。本日の大勝を報告する一報のようだ。
 よしよしとうなずくボスの横顔に言ってみた。
「さすが『貴方の』バイヤーは優秀ですね」
「だろぉー?」
 うれしそうに笑って、力こぶを叩くしぐさを見せる。まったくこの人は『自分』の範囲が狭いんだか広いんだかわからない。他人も自分の一部なのか、自分の細胞すらも他者なのか。変なの。

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「……ていうことがあったんだよね」
 僕の報告をうつらうつらと聞いていた君は、さして興味もなさそうにフーンと鼻だけで返事をしてくれた。
 今日のお供は煙草ではなく酒の方だ。君はお気に入りのドライ・ジン。僕は甘ぁいラム・コーク。
「何だか君みたいな人だなーってたまに思うんだよね。全然違うんだけどさ? 種類は全然違うんだけど、僕と全然同じじゃなくて、でも一緒にいると飽きないんだよねぇ。楽しいっていうか、そういうとこ……聞いてる?」
 数刻前まで女王様のようだった人は、心底興味がなさそうにあくびをしていた。化粧を落として横顔は、昔と変わらず少年のようだ。
 何だろうね。
 僕がボスと決めた人、あの人もね、見た目は完全にオッサンなのにたまに少年みたいなんだよね。何でかな。僕はそういう人に惹かれるみたいだ。自分がそういうタイプじゃないから、珍しいのかなぁ?
 声にしてみたい言葉はまだまだありそうな気がしたけれど、何を言ったところで興をそがれた君には聞き届けてもらえないんだろうね。この話題には見切りをつけて、そろそろ君の話を聞く方に回ろうかな。
 最後にボソリと、子供みたいな人だから放っておけないんだよね、とだけ独り言ちて、僕はキンキンのラム・コークを一息に飲み干したのだった。

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